The Hillsと関係ないモノー松江哲明まとめー

松江哲明3日目

今日は『赤裸々ドキュメント・天宮まなみ』。
このAVでの松江哲明の目的は「頑張りすぎてる天宮まなみの素の表情を撮りたい」ということ。これだけだと「?」という感じだけれど、前半部分の天宮の他人に悪く思われたくないような作り笑顔、盛り上げようとして本当に感じているのかわからない嘘くさいあえぎ声のカラミなどを観ていると、知らないうちに松江監督と同じ気分になってくる。
そんな天宮まなみに”オレのチンコで聞いてやる”と1対1のハメ撮りに持ちこむ松江監督。「いつも思うんだけど、頑張りすぎてる気がするんだよね」と切り出す松江監督に対して、ちょっと驚いた顔をした天宮は、ツッこんだ質問に答えていくうちに今までの他人を意識したような表情をだんだんと消していく。照明が足りないラブホでのハメ撮りならではのザラッとした映像も天宮の表情にリアル感を与えて、「あれっ、なんかすごい可愛いぞ」とこちら観ている側の気分も変化していき、最後の誰も予期しなかったハプニングを経ての素の笑顔は感動的なほどに可愛い。
この最後の笑顔があるからこそ、エンドクレジットでの天宮のいろんな笑顔が生きてきて、「いけすかない」と思えた前半の頑張ってる部分の笑顔ですら愛らしく思えてくるのがすごい。松江監督の天宮への愛を感じる気合い入った編集ぶり。『前略、大沢遥様』も『双子でDON!』もよかったけど、個人的にはこれがベスト。
あと、松江哲明山下敦弘作品をよく手がけているカメラの近藤龍人の映像の素晴らしさも着目。トークショーで「引きのもアップのもボヤけたのも全パターン撮ってる」「気付いたらずーっとカメラをまわしてる」という事を聞いてなるほどと納得した。

で、その天宮まなみがこの日のゲストだったのだけれど、鼻から抜けるような高い声での「う〜ん、うん、うん、うん」という薄っぺらい相づちを連発し、さっきの笑顔を観た直後だっただけになんだかちょっと悲しくなった。

松江哲明2日目

今日もアップリンクへ。連日アップリンクに行くなんて初めて。
松江特集2日目の上映作品は『双子でDON!』。一卵性双生児の双子がセックスの途中に入れ替わって、果たして男優は気づくのか?という仕掛けAV。仕掛けられる男優は『セキ☆ララ』でお馴染みの花岡じった
結論から言うと、見事に花岡じったはだまされて仕掛けは大成功なんだけども、そのだまされっぷりが観ていてすがすがしいほど。シックスナインの途中で入れ替わったのに気づかないのか!マ○コの形って違うんじゃないの?っていうか、明らかに双子の体型も違うんですけど・・・ といろいろツッコミたくなるけれど、花岡じったはあっさりとだまされる。その”気持ちいいほどのだまされっぷり”とその後の双子にフェラしてもらってる画像を携帯で撮影して「お守りにする」と言う発言や、嬉しそうに双子との3Pをこなしている時の笑顔など、なんというか、花岡じったの魅力が満載のAVでした。と、これだけだと花岡じったが素直なおバカキャラの人みたいだけど、共演者の双子が「お互いにもう一人の自分ってかんじの存在」と言ったのを受けて、「いやー、オレは家族に対してそういうのないから、いいよなあ」と『セキ☆ララ』を観てる人間にはグッとくる言葉を言ったりするところが、花岡じったの魅力の真骨頂だと思ったのでした。

終了後のトークゲストは山下敦弘監督。山下監督も「『童貞。2』は涙が出そうになった。彼のあの映画が観たい」と言ってたのが印象的。しかし、昨日飛び入りで来ていた向井康介といい、松江監督、ナオイさんとみんな自分の友達でいそうな感じの雰囲気なのは何故なのか。しかも大学時代の友達。彼らがしゃべってるのを見てるだけで、学生の頃に戻った気がしてしまうのが不思議。

松江哲明1日目

今日から始まったアップリンクファクトリー松江哲明ウィーク。
まずは下北沢で観逃した『セキ☆ララ』。
前半は松江監督と同じ在日三世である相川ひろみ、後半は在日二世である花岡じった&中国人留学生の杏奈。元の作品タイトルが『アイデンティティ』だったことに表れているように、相川ひろみパートでは、相川の生まれ育った尾道・京都へ旅をしながら在日であることを問いかけ、花岡じった&杏奈パートでは、二人のデート〜セックスをとおして、アイデンティティを明らかにしようとしていく。
帰化はしておらず、自身の認識も「(日本生まれ日本育ちの)韓国人」であるけれど、韓国に行ってみたいとは思わない相川。「富士山を見てキレイだと思うのは日本人だよ」「オレのアイデンティティは日本社会だね」「オレは日本が好きだ」「負けたら、座禅して死ぬ」と普通の日本人よりも日本人らしい発言(このへん、右翼には在日の人が結構いる、という事実を思い出す)をする花岡は、こうも言う。
「頭のどっかに、朝鮮人として生まれてきたもどかしさというか、怒りがある」。
いわゆる左翼的良識(岩波書店朝日新聞っぽいもの)からみると、脱力感をおぼえるような発言をする相川・花岡に対して、ツッコミをいれつつもカメラをまわす松江哲明の視点は優しく、優等生が頭で考える小理屈を超えた愛に満ちた作品。セックスって人が繋がるんだなあ、とも思わせてくれるだけに、もう少しセックスシーンが長いとよかったなあ、と残念。とはいっても「こりゃ性欲処理のオナニーのためのAVじゃないなあ」とも思うけど。あと、アイデンティティが家族”である杏奈と、実家に住みながら父親と口を聞かない花岡じったの対比もいい味わい深くてよかったんだけども、観終わってみると、相川パートの印象が薄い気が。


2本目はAV監督デビュー作の『前略、大沢遥様』。
終了後のトークイベントで客として来ていた童貞2号の梅澤くんがいみじくも言った「松江さんのほうが童貞だと思いました」というのは名言。最初の10分は女優が全く出てこず、男3人で女優のセクシー写真をネットで観てキャーキャー盛り上がって朝まで寝なかったり、”郊外の風景が好き”というたったひとつの共通点だけで、自分たちと同じ”こちら側”の人間だと思ってしまう童貞くささ。ロケハンに同行した村上賢司監督の「薄っぺらい女だね〜」という女優評や”童貞行進曲”には爆笑する。
この作品では助監督の上島なる男子が、後に繋がるプロデュースされる童貞としての役割を果たしていて、松江監督の童貞サーガに連なる作品として重要な一作。ゲームしたり買物に行ったり恋愛相談してもらったりで、大沢遥とグッと近くなった!と思っていたのに、イケメン男優とのセックスで裏切られた!!な感じで態度が豹変するのが最高。終了後のトークイベントでは、ゲストの雨宮まみが作品の童貞らしさを分析する的確なコメントの連発で、最初から最後まで笑った作品でした。


DVD欲しいなあ・・・


童貞。をプロデュース』をプロデュース

松江哲明監督の”『童貞。をプロデュース』をプロデュース”イベントに行く。場所はネイキッドロフト。8割くらいの入りで、男性陣はややモサめの人が多かったが、女子は全体的に(といっても10人ぐらい)小洒落ていて驚く。


イベントは2部構成で、1部は童貞1号&2号、長澤つぐみさん(気配り上手)、制作のナオイさんを迎えて、2部は1部メンバー+童貞マスターが加わってのトーク。1号&2号のバンタン時代の映像作品を観れたり、1号の名曲『穴奴隷』が聴けたり、2号は素人童貞だとか1号は「まさみさん」とまだ付き合ってるとか、『童貞。をプロデュース』ファンとしては盛りだくさんの内容だったのだけど、印象に残ったのを箇条書き。

・ 童貞はめんどくさい。
・ 童貞は理屈をこねくりまわして、行動しない。
・2号はバックプリントがレアなダニエル・ジョンストンTシャツを着て登場。
・1号、2号、長澤さんというメンツでのトークの際に、ビールが2本しか来ず、2号はすかさず自分のをキープしたけど、1号は長澤さんに譲ったこと。
・ 長澤さんの「『童貞。2』の最初のシーンでの1号にガッカリ。やっぱり、童貞を捨てちゃうと変わっちゃうんだな〜」という鋭い指摘。
ドキュメンタリーは嘘をつく


1号はみうらじゅん先生の『D.T』に代表されるようなポップな童貞で、だから「かわいい」「モテそう」とか女子にウケたのがよくわかるけど、2号は自分の世界で充足していて生身の女性とコミュニケートしない存在として描かれており、『童貞。2』は『童貞。1』では救われなかった童貞達へ向けて作られたように思った。『童貞。1』=好きな女子に告白する、『童貞。2』=憧れのアイドルに自分の作品を観せる、と設定自体もそんな感じだし。


帰りに42歳の童貞塾講師なる人が作った松江監督の特集冊子を購入し、ミーハーにもサイン&握手してもらう。嫌味じゃないポジティブさとエネルギーを持った稀有な人で、一緒に行ったメンバーみんな大満足でございました。
今週末からのアップリンクでの特集も行かなきゃな。